そろそろ倉庫の外壁塗装が必要だと考え、複数の業者に見積もりを依頼してみた。数日後、手元に届いた見積書を見て、あなたは頭を抱えることになります。「A社は200万円、B社は350万円、C社は間をとって280万円…」。同じ倉庫の塗装工事のはずなのに、なぜここまで金額が違うのか。
安すぎるA社は、何か手抜きをされるのではないかと不安になる。一方で、最も高いB社は、本当にその金額に見合う工事をしてくれるのか確信が持てない。結局、どの見積もりを信じれば良いのか分からず、判断基準が見いだせないまま時間だけが過ぎていく…。
これは、倉庫の外壁塗装を検討する多くの経営者が直面する、共通の悩みです。価格の妥当性が分からなければ、大切な会社の資産を守るための重要な投資を、自信を持って決断することはできません。
この記事では、そんなあなたが「価格のカラクリ」を正しく理解し、提示された費用が適正かどうかを自身で見極められるようになるための知識を、専門家の視点から解説していきます。
■まず知っておきたい。倉庫の規模・塗料別の外壁塗装費用一覧

費用の全体像を掴むために、まずは倉庫の規模と使用する塗料の種類に応じた、おおよσοの費用相場を知っておきましょう。これはあくまで一般的な目安ですが、自社の倉庫と照らし合わせて予算感を把握するための基準としてください。
倉庫の外壁塗装費用は、「塗装面積(㎡)× 塗料の単価 + 足場代 + その他工事費」で構成されます。ここでは、現在主流となっているシリコン塗料と、より耐久性の高いフッ素塗料を使った場合の費用感をご紹介します。
例えば、延べ床面積が300㎡(約100坪)程度の比較的小規模な倉庫の場合、コストと耐久性のバランスが良いシリコン塗料を使用すると、費用相場は90万円~180万円程度となります。これを、より長持ちするフッ素塗料にグレードアップすると、120万円~220万円程度が目安になります。
次に、延べ床面積1000㎡(約300坪)の中規模な倉庫では、シリコン塗料の場合で250万円~450万円、フッ素塗料を選ぶと300万円~550万円程度が一般的な価格帯です。
さらに、延べ"床面積1650㎡(約500坪)といった大規模な倉庫になると、シリコン塗料では400万円~700万円、フッ素塗料の場合は500万円~900万円を超えることもあります。
もちろん、これは建物の形状がシンプルで、外壁の劣化がそれほど進んでいない場合の目安です。実際の費用は、これから解説する様々な要因によって変動します。
■見積もり総額を本当に左右する、費用の内訳「3つの真実」

なぜ、同じ規模の倉庫でも見積もり金額に100万円以上の差が生まれるのでしょうか。その理由は、見積もりの内訳を詳しく見ることで明らかになります。塗装費用を本当に左右しているのは、以下の3つの要素です。
・真実1:塗料代(どのグレードの塗料を選ぶか)
最も分かりやすい価格差の要因は、使用する塗料のグレードです。セクション2で例に挙げたシリコン塗料とフッ素塗料でも単価は大きく異なりますし、さらに高耐久な無機塗料を選べば、塗料代だけで数十万円の差が出ることもあります。どのレベルの耐久性を求めるかによって、初期費用は大きく変動します。
・真実2:工事代(建物の劣化状況と補修の手間)
塗装工事は、ただ色を塗るだけではありません。塗料を密着させ、長持ちさせるための下地処理が非常に重要です。サビが広範囲に発生していれば削り取るケレン作業に時間がかかりますし、ひび割れが多ければ補修する手間も増えます。この「手間」、つまり人件費が、建物の劣化状況によって大きく変わるため、見積もり額に差が生まれるのです。
・真実3:仮設足場費用(最も大きな変動要因)
そして、多くの人が見過ごしがちですが、費用を左右する最大の要因が「仮設足場費用」です。安全に作業を行うために不可欠な足場ですが、その費用は総額の2割から3割、規模によってはそれ以上を占めることも珍しくありません。建物の形状が複雑であったり、隣の建物との間が狭かったり、トラックの出入りが激しく安全対策が余分に必要だったりすると、足場の設置・解体費用は大きく膨れ上がります。この足場代をいかに考えるかが、コストを管理する上で最も重要なポイントになるのです。
■要注意!こんな見積書を出す業者には絶対に頼んではいけない

適正な価格で質の高い工事を行ってくれる優良業者を見抜くためには、提示された「見積書」を正しく読み解く能力が不可欠です。逆に言えば、危険な業者は見積書にそのサインが現れます。以下のような見積書を提示された場合は、契約を慎重に考えるべきです。
・危険な見積書1:「一式」ばかりで内訳が不明瞭
「外壁塗装工事 一式」「下地処理 一式」「諸経費 一式」といった項目ばかりが並び、単価や数量の記載が全くない見積書は非常に危険です。これでは、具体的にどのような材料をどれだけ使って、どのような作業を行うのかが全く分かりません。後から「これは含まれていなかった」と追加費用を請求されたり、必要な作業が省略されたりする温床になります。
・危険な見積書2:あり得ない値引きを提示する
「今契約してくれるなら、モニター価格で半額にします」「足場代を無料にします」といった、過度な値引きを提示して契約を急がす手口には注意が必要です。そもそも、適正な利益を確保しなければ事業は成り立ちません。大幅な値引きの裏には、塗料を薄める、必要な工程を省く、安い未熟な職人を使うといった、品質を犠牲にするカラクリが隠れている可能性が高いと疑うべきです。
・危険な営業トーク:「火災保険を使えば無料でできます」
「台風で被害を受けたと申請すれば、保険金で工事が実質無料になります」と持ちかける業者もいますが、これは絶対に信じてはいけません。自然災害による被害ではないのに虚偽の申請をすることは、保険金詐欺にあたる犯罪行為です。コンプライアンス意識の低い業者である証拠であり、まともな工事は期待できません。
信頼できる業者が提出する見積書には、必ず「使用する塗料のメーカー名・製品名」「塗装する面積(㎡)」「各工程の作業内容と単価・数量」が詳細に記載されています。これらの情報が明確であるかどうかが、業者を見極める最初のチェックポイントです。
■品質を落とさず費用を抑える、プロが実践する「コスト削減術」

「費用は抑えたい。でも、品質で妥協して後悔はしたくない」。これはすべての発注者に共通する願いです。その願いを叶える「賢い業者の選び方」とは、単に安い業者を探すことではありません。コストパフォーマンスを最大化する提案ができる業者を選ぶことです。
そのためのポイントを3つご紹介します。
1つ目は、下請け業者を使わない「直接施工」の会社であることです。大手のリフォーム会社などでは、実際の工事を下請け・孫請け業者に発注するケースが多く、その度に中間マージン(紹介料)が発生します。自社の職人で直接施工する会社であれば、この不要なコストがカットされ、その分を品質向上や価格の抑制に充てることができます。
2つ目は、建物の状況に応じて「無足場工法」を提案できることです。先述の通り、足場代は費用の大きな割合を占めます。建物の形状や立地条件にもよりますが、ブランコやゴンドラ、ロープアクセスといった無足場工法を採用できれば、この足場費用そのものを大幅に削減、あるいはゼロにすることも可能です。豊富な経験と技術力を持つ業者だからこそできる、専門的なコスト削減術です。
3つ目は、創業50年など、数多くの施工経験とノウハウを持つ業者であることです。多くの現場を経験しているからこそ、個々の建物の状態に最適な補修方法や塗料を選び出し、無駄のない工事計画を立てることができます。
そしてもう一つ、長期的な視点でのコスト削減として、「屋根の防水工事も同時に検討する」という考え方があります。外壁塗装のために一度足場を組むのであれば、その機会に屋根のメンテナンスも行うのが最も効率的です。別々に工事を発注すれば二重にかかる足場代を、一度で済ませることができるのです。雨漏りなどが発生してからの対応では遅すぎます。建物の寿命を延ばし、トータルの修繕費用(ライフサイクルコスト)を抑える上で、非常に有効な選択と言えるでしょう。
このような専門的な提案ができるかどうか。それが、本当にあなたの会社の利益を考えてくれる業者かどうかを見極める試金石になります。
株式会社健装では、専門の診断士がお客様の建物の状況とご予算を丁寧にヒアリングし、最適な工事内容と費用をご提案します。まずは無料の建物診断をご利用ください。
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■塗装費用は「コスト」ではなく未来への「投資」。最初の一歩は正確な見積もりから
倉庫の外壁塗装にかかる費用について解説してきましたが、重要なポイントを最後に整理します。
・まずはおおよその費用相場を把握し、自社の予算感を掴む。
・見積もりの金額は「塗料代」「工事代」、そして特に「足場代」で大きく変動することを理解する。
・「一式」表記を避け、内訳が詳細な見積書を提出する誠実な業者を選ぶ。
外壁塗装の費用は、単なる「コスト(費用)」として捉えるべきではありません。それは、企業の顔である建物の美観を維持し、大切な資産を風雨から守り、そこで働く従業員の安全を確保するための、未来への「投資」です。
目先の安さだけで判断を誤ると、数年後に再塗装が必要になるなど、結果的に「安物買いの銭失い」となり、トータルではるかに高くついてしまう可能性があります。
そうした後悔をしないために、あなたが今すぐ始めるべき最初の一歩。それは、あなたの倉庫に本当に必要な工事内容と、そのための正確な費用を知ることです。複数の選択肢の中から、納得して最適な投資判断を下すために、まずは信頼できる専門家による詳細な見積もりを取得することから始めましょう。
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